先日DAZNでザスパ草津対栃木SCの北関東ダービーを観戦した。試合自体は1-0で群馬の勝利に終わったのだが、それとは別に私には気になった選手がいた。栃木SCの吉田将也選手だ。彼は元ザスパ草津の選手だった。つまり古巣との対戦だったわけである。
吉田選手は2019年シーズンよりザスパ草津に加入。2018年よりザスパ草津の監督に就任していた布啓一郎監督のもと、チーム内で最多のアシストを記録。布監督は、チームを3年ぶりのJ2復帰へ導いた。だがその後、布監督は2020シーズンより、松本山雅FCの監督に就任。その際、ザスパから布監督が引き抜く形で新天地の松本山雅へ連れて行ったのが彼、吉田将也選手だった。
我々ザスパサポーターとしては2シーズンでキッチリと結果を出し、チームをJ2へと導いてくれた布監督がチームを去るのは残念極まりない。だが、そこはプロの世界。笑顔で布監督を送り出そう!そのように感じたのをよく覚えている。ただその際、吉田選手を布監督が引き抜いていってしまったので「えっまじか?」と思ったのもよく覚えている。
ところがその布監督は松本山雅で2020シーズンの開幕から21試合で4勝7分10敗の20位に低迷し、9月25日にまさかの解任。2021年1月吉田将也選手は栃木SCに期限付き移籍となる。そして先日のザスパ草津戦となったわけである。
吉田選手の心境は如何なものだったろう?
「まさに諸行無常、万物流転。でもさ、それも面白いじゃないか!と俺は思うんだよ。」と試合後、私がLINEすると兄は
「良くある話さ!それぞれの場所でベストを尽くせる者しか生き残れない。スポーツだけじゃないよ。」
とすぐに返してくれた。私は
「うん。」
と返信した。
何の世界だってそうだと思うが、サッカーの世界だってやっぱり運や人脈が大きく作用する。才能や実力は成功者の後付けなのかもしれない。
吉田選手の様にその都度ベストと思って下した決断がそうでなかったという場合ももちろんある。でも、腐るわけにはいかない。それぞれの場所でベストを尽くさねば開ける道も開けないのだ。
一方で中村憲剛選手の様に川崎フロンターレ一筋と言う選手もいる。何が正解なのかは誰にもわからない。でも転職を繰り返した人間の一人として言わせてもらうならば、クラブを渡り歩き、出会いと別れを繰り返し、そうやって常に新鮮な環境に身を置くのは悪い事ではないと思う。諸行無常、万物流転いいじゃないか?
仕事だって同じだ。何も最初に入った企業でずっと働く必要はない。自分が輝ける、自分が必要とされる場所を求めて渡り歩く人生もそうそう悪くはない。
もしかすると国だって同じかもしれない。生まれた国で死ななきゃいけない法は無い。自分を必要としてくれる場所が在るなら国境なんかに縛られる必要はないと思うのだ。
今の子供たちが大人になるころには国家も選択制になっていたら面白い。成人したら自分が住みたい国家を選択できるのだ。
「俺は家族や友人の残る今の国に住み続けるつもりだ。」
と言うのも勿論いい。
「私はここまで育ててくれたこの国にとっても感謝している。でも、と言うかだからこそ、この国で生まれ育った自分がどこまで通用するのか?広い世界で試してみたい!」
と言うのも勿論ありだ。
骨をうずめる覚悟と言う表現がある。私が保護者だったら、そんな覚悟なんかいいから自分を必要としてくれるところへ飛んで行って、必要としてくれる人の為に頑張んな!そこの人たちの心に残ったらそれで十分だ。と伝えると思う。
何にせよ土地を媒介とした主従制度「御恩と奉公」ではあるまいし、そんな覚悟、時代錯誤も甚だしい。
人も物も情報も自由に行き来すればいいと思う。何かに縛られる必要なんてないのだ!
と、ここまで述べてきたがこれがいわゆるグローバル化なんだと思う。コロナが終息したら本格的にそんな時代になるのかもしれない。私自身は年齢的にも能力的にもこの国を飛び出す余裕などないが、今の子供たちにはぜひ広い世界を知って欲しいと思う。
吉田将也選手からそんなことを考えた。
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