結び付ける力(ネットワーク)

教育

 よく、「いろいろな分野に興味を持て!」と言われる。何故だろう?と思っていたが自分なりに答えが出たので以下に示したい。

 先日、授業中に【善】とは何か?という質問をした。生徒からの答えとしては

「正しい事」

「良い事」

「悪の反対」

などの答えが返ってきた。ちなみに「では悪って何?」と聞くと、その生徒は沈黙してしまった。少し意地悪な質問だったかもしれない。

 

 続けて私は、【性善説】で知られる孟子の話をした。ホワイトボードに赤ちゃんがハイハイをしている図を描いて、このまま進むと大きくて深い穴に落ちてしまう。そこにいるのがどんな悪人だって、赤ちゃんを助けようと手を差し伸べるだろう。これをもって孟子という人は人間の性は【善】だと言った。

 「つまり、孟子は【善】という〇〇的な概念を、目で見たような、実際に触れられるような◎◎的な例として表したんだ。さて〇〇と◎◎には反対の意味の2字熟語が入る。なんだかわかる?」

と質問した。キョトン?としている生徒たちに

「【◎体的】とするとわかるかな?」

とヒントを出した。するとある生徒は「具体的だ!」と解答に行きついた。続いて私は

「じゃあこちらは?」と〇〇の方を指すと今度はすぐに

「抽象的だ!」と答えた。ついで私は

「そうそう。これで抽象的と具体的の意味の違いが分かった?ちなみにみんなは中学生だけど、小・中・高と進むにつれてみんなの読むテキストはどっちからどっちに変ってゆくかな?」

と聞くと

具体的→抽象的

とこれまたすぐに答えが返ってきた。私は

「そうだね。この抽象的な概念を具体的に読み解いていく、その手助けが我々教える側の1つの役割だとも言えるね。言わんとすること伝わった?」

と聞くと、生徒たちはコクンとうなずいた。

 以上は私の中学生相手の国語の授業での1コマだ。この時、私は国語の授業を展開するにあたって、世界史で得た知識を用いた。このように一方で得た知識を別の一方と関連付ける、もしくは結びつけるという行為は非常に意味がある。知識とはそれ単独で存在するものではない。ある知識と別の知識を関連させる、もしくは結び合わせることで、別の何かが見えてくる。それこそが知識の活用法だと私は考えている。

 つまり、知識はそれ単独で存在したのでは本来の意味をなさない。大切なのは関連させる力・結び付ける力なのだ。応用が利くとはそういう事だろう。この話をもっと突き詰めると脳内のニューロンのネットワークがどうこうという話になる。

 冒頭に占めした通り、よく「いろいろなことに興味を持て!」と言われるが、要はこの【結び付ける力】を鍛えろ!と言う事なのだろう。そう自分なりに解釈している。つまりはニューロンのネットワークを張り巡らせろと。そう言う事なのだろう。

 知識はそれ単独で存在したのでは意味をなさない。大切なのは関連づける力(ネットワーク)なのだ!

 そんなわけで、この文章を読んでくださっている皆さん、いろいろな事に興味を持ちましょう!文武両道と言うのも、もしかしたらそう言う事なのかもしれません。勉学に、運動に、音楽に、絵画に、自分に、社会に、地球に、そして宇宙に!いろいろなものに興味関心を抱き、それらを結び合わせてください!

ではまた!

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