「数学は多数決じゃない!」
こんなセリフを吐いた数学の先生がいた。中学2年の時だったと思う。確か図形の、ひし形と平行四辺形の定義についての問題だったと思う。そのT先生は、クラス中に決を取った。42~3人のクラスの中で、私だけがみなと違う答えを選択した。それをみたT先生は
「そうなんだよね、数学は多数決じゃないんだよね!」
と言って私のみが正しく他のクラスメイトは皆間違っていることを証明して見せた。私は自分の選択が正しかったことを確認してスカッとしたような、それでいてこの先生はこんな事をして何が言いたいんだろうといぶかしくも思った。
今にして思うとT先生にもT先生なりに日々の職務の中で言いたいことがあったんだろう。授業は熱心だったし、何よりも解りやすかった。親切で理路整然としていた。先生に習う数学は楽しかった。でも、と言うかだからこそなのか?それでいて教員集団の中心には何故かなれない。そんな先生だった。子供ながらに覚えている。私などはもっと出世してこんな先生が力を持ってくくれたらなぁ~と思っていたのだが、最終的には隣りの市の図書館に出向してそこでキャリアを終えたらしい。どんな事情があったか知らないがもったいない話だ。
T先生の出した問題に一人だけ正しい回答をした私だったが、それでどうなったかと言うと、少しクラスで浮き気味だったのが、正真正銘の浮いた存在になってしまった。私がもう少し大人だったら、もしくはもう少し計算高かったら、わざと間違った答えをして皆との距離を縮めたのだろう。でも、それが出来るほどに大人ではなかったし、計算高くもなかった。 そのおかげでずいぶん苦労もしたし、ひどい目にも合ってきた。でも、今(45歳)になってあの時そんな選択をしなくて本当に良かったと思っている。もしあの時計算高く振舞っていようものならこんな文章は書けなかったと思うし、ごくごく平凡なつまらない人生を送っていたと思う。要は自分に自信が持てなかったのだと思う。はっきりと言うがあそこでわざと間違えるような回答をする奴はクソ食らえだ。もう一度言う。クソ食らえだ。何度でも言う。クソ食らえだ。
そういう風に40数年生きてきた男のこれはつたないブログなのです。その事をご理解の上お読みいただければ幸いなのです。ただそれだけの文章なのです。今回言いたいことはそれだけです。ではまた!
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