哲学の意義

友人

 先日、田中芳樹先生の(『走無常』講談社)を読んだ。心に残った個所があったので以下に記したい。

『科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の上にP哲学(philosophy)』が無ければだめなんだよ。』

 どんなに科学、技術、工学、数学に秀でていてもそれらを方向付ける哲学が無ければ意味をなさない。であるから全国の国立大学から文学部を無くす方向で政府が舵を切っているのは大きな間違いだと。

 田中先生の言わんとするところは、そう言う事だったと思う。仰ることを自分なりに理解できたので以下に述べたい。

 今日、友人とラーメンを食べに行った帰り道の車中、東京都知事選の話から憲法9条の話題に話が移った。

「いざという時、私たちは永久に戦争しません。て言ってもなあ?長谷川どう思う?9条賛成派か?反対派か?」

「いや、俺は反対でも賛成でもないけど・・・ノンポリだから(笑)。でも・・・。」

「でも?」

「こんな風には考えている。結局、文系の学問てのは、押しなべて【解釈】の学問なんだと。歴史学だってそうだし、法学だって叱り。9条なんてまさにその【解釈】次第で戦力と自衛のための武力は別物だって言っちまってるわけでしょ。だから兵器持ってもかまわないと。その意味で法治国家なんて言っても、結局はその法を解釈する側、つまり一握りの権力者による人治国家なんだと。実際、戦争を始めるのも権力者だし、やめるのも権力者だ。それでいて一番被害を被るのはいつだって民衆さ。」

「ふむ。それで?」

「だから、【解釈】の仕方そのものを解釈する学問、つまり【哲学】がすべての学問の上には必要なんじゃないのかと。で、貴方も在籍していた【哲学】科があるのは文学部だろ。その文学部をなくす方向に舵を切ろうとしている今の政権には、あんまりいい印象はないな。つまり、哲学のない学問なんて、手先だけ器用で心のない人間を大量生産するだけなんじゃないのかと。そう思う。金がもうかればいいってもんじゃないんだよ。そりゃ経済が潤うのは大事だけどな。」

「さすが元文学部歴史学科。」

「あなたは哲学科だものな。」

「そ、だから俺のほうが上。」

「いやそういう意味ではないけど・・・まあそれでもいいや(笑)。」

 田中先生が登場人物の口を借りて仰りたかったことが、自分なりに理解できたつもりです。先生有難うございます。もっともこんなことを公の場で表現してしまうとそれこそ当局に目をつけられてしまいそうですが・・・その時は先生ごめんなさいm(__)m。

そしてYよ、万が一そうなった際、どうか、どうか最後まで友達でいてください。

2024年6月29日   長谷川漣

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