「かるたは楽しいっていうか、一生懸命は楽しいぞー。」
今読んでいるマンガ(「ちはやふる」末次由紀著)に出てくるカルタ部顧問の言葉だ。本質をついている。スポーツであれ、かるたであれ、勉強であれ、仕事であれ、趣味であれ、一生懸命になる事それ自体が楽しいのだ。そして一生懸命になれるものがある人は輝いている。その意味でこのマンガに出てくる人物は皆輝いている。素敵だ。
その一方で次のような意見もあると思う。「勝つから楽しいんでしょ。」確かにこれも一理ある。学童で働いていると、小学生、特に1年生などはその傾向が強い。勝つためには平気で《ずる》してしまう。そんなときは「《ずる》して勝っても楽しくないだろ!」と諭すのだが・・・。「一生懸命になる」から楽しいのか?それとも「勝つ」から楽しいのか?これは難しいテーマだ。どちらがより価値あるのだろう?その一つの答えとして、同じく『ちはやふる』の中に次のようなセリフがある。
「正々堂々やって負けて、カッコ悪いことあるかー!!」
そうなのだ。逆(待遇?)に言えば、《ずる》して勝っても、そんなのカッコ悪いのだ。「カッコ悪い」と言うからには美意識と価値観とは深く関係している。美って大事だ。また、勝つ事、一番になる事をテーマとしたマンガに(『帝一の国』古屋兎丸著)がある。このマンガでは、そもそも、なぜ主人公の帝一があれほどまでに勝利にこだわる人間になったかが物語の中できちんと描かれている。気弱でピアノが生甲斐だった帝一が厳格な父から大好きなピアノを禁じられる。そこから帝一は「勝ち」にこだわる人間へと変貌していく。
勝敗や損得抜きで純粋に打ち込めるものがある。その方が価値あるという解りやすい例だ。そう、何かに「一生懸命になる」事。おそらくそれは「勝つ」事よりも価値ある事なのだ。仕事でも、趣味でも、家族でも、誰もが何かに一生懸命になれる社会。そんな世の中だったらいいと思う。さて、あなたの一生懸命は何ですか?
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