SNSが普及するはるか以前から「いーね」を多用してきた人物がいる。クレイジーケンバンドの横山剣さんだ。いわば「いいね」の先駆者だ。ただし横山さんの場合は、「いーね」に先行して「どうよ?」という前振りがある。横山さんがバンドのメンバーに「最近どうよ?」と聞くとメンバーは「いや、最近頭痛がひどくて・・・」と答える。それに対して剣さんは神妙そうに「いーね」と返したとの事(笑)。(NHK・カヴァーズより)
私の学生時代をご存知の方はうなずいていただけると思うが、私もこの「どうよ?」を会話に多用してきた。「最近どうよ?」この「どうよ?」にはいろんなニュアンスが詰まっている。「最近見かけなかったけど元気か?」とか「進級ダイジョブなのか?」とか「彼女とは順調なの?」とか「暇してないか(寂しくないか)?」とか様々なニュアンスをこめて「どうよ?」と会話の頭に持ってきた。
私は今も昔も天気の話とか、時事ネタとか、趣味の話とかいわゆる話題が豊富な方ではない。むしろ趣味や話題に乏しい人間だ。でもまあ、それはそれで仕方ないと思う。少し話は飛ぶが椎名林檎さんの楽曲に「sweet spot」がある。サビの部分でyou always know my sweet spot ♪(あなたは私の打たれ弱い部分、つまり芯になる部分、核になる部分を知っているの)と歌っている。私もこの歌詞に共感する。つまり相手の本質を知りたいのだ。
天気の話とか、趣味の話とかパチンコとかそれはそれで当たり障りのない重要なコミュニケーションツールだ。ただそれとは別に、相手の本質、コアとなる部分を知りたいという気持ちが常にある。それは今も昔も変わらない。社会人となった今では、少し親しくなった人に「アバウトな質問で恐縮なんですが(笑)、最近どうですか?」と投げかけてみる。すると相手から「まあ、ボチボチですね(笑)」という答えが返ってくる。実に洗練された答えだ。「思うところを素直に言ってみたいけど、そうするといろいろ軋轢も生じるし、とりあえず危なげない答えを」という意図が伝わってくる。それはそれでとてもいいと思う。大切なのは「あなたに興味がありますよ。」とそれに対する「ありがとう」という意図が伝わる事だ。少しずつ少しずつ本質に近づければそれでよい。
さてこの文章をお読みいただいている貴方は最近どうですか?私?私はまあ、ボチボチです(笑)。
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