指導者の使命

サッカー

 去る1月9日。高校サッカー選手権の決勝戦が行われた。結果は岡山学芸館が東山を破り、初優勝した。私もベスト16以降の試合は時間の許す限り観た。地元ひいきと言うわけではないが、技術的に最も面白いサッカーを繰り広げたのは前橋育英だったのではないかと思っている。うちの父に言わせれば、ミドルからでもいいから打つべき時に打たない一片のもどかしさは残ったとの事。それでもやはり、最も見ごたえのあるサッカーをしたのは育英だったと言う結論に我々は落ち着いた。ちなみに育英は熊本代表の大津高校にPK戦で敗れ、結果はベスト8だった。(夏のインターハイでは優勝)

 優勝こそ逃したものの、高校生でこんなに面白いサッカーを表現するのは凄い事だと思う。そのチームを作り上げた山田監督はやはり凄い。私のような下手の横好きだってやっぱりサッカーが面白かった。何が面白かったかって、それは時にドリブルで、時にパスをつないで相手を崩してゆくその過程だ。時としてそれは“勝つ事”それ自体よりも面白かった。それがサッカーの醍醐味であり、私がサッカーを好きな理由の核心でもある。

 逆に言えば、身長の高さとフィジカルの強さにものを言わせて、ロングスローでポン!と言うサッカーが私は一番嫌いだ。(失礼を承知で言わせてもらいます。心当たりのある方々ごめんなさい。)

 これは憶測にすぎないのだが、もしかしたら山田耕介監督は勝つ事と同等かもしくはそれ以上に、子供達がサッカーを好きでい続けられるよう、もしくはもっともっと好きになるようにと思いが根底におありなのではないか?だからこそあのような面白いサッカーを追求したチーム作りをしておられるのではないか?もしそうだとしたらなんて素敵な指導者なのだろう!今年のチームでボランチだった徳永涼選手のように、Jの下部組織の誘いを断って育英に入ってくる生徒がいるのもうなずける話だ。

 色々な指導者がいていい。ただ、“勝ちさえすればよい”と言うのは正直どうかと思う。そういう風潮がまかり通ってしまっては、長い目で見た時、サッカー界全体の為にならないからだ。やはり指導者と言われる人たちにはサッカーを好きだという情熱が根底に不可欠で、その情熱が子供達に伝播して行くようでなければいけないのではないか?山田監督の教えのもと、前橋育英が最も多くのJリーガーを輩出している事とそれは無関係ではないと私は思う。

 どんなスポーツだって同じだが、指導者と言われる人は子供達がそのスポーツを嫌いになるような指導をしてはいけない。その指導者の下でそのスポーツがもっともっと好きになったと言わせられればしめたものだ。

 私は学童の支援員だが、やっぱり学童も同じで、子供達が学童で過ごす時間が、遊びが、勉強が、おやつが楽しみになるような指導をしたい。それがまがいなりにも1指導者としての使命であり、醍醐味でもあると私は思うのだ。

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